【作品紹介】映画『ゾンビ』

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「ゾンビ」という怪物を聞いたことがある人は多いでしょう。映画やゲームなどに登場するポピュラーな怪物です。作品によって多少設定は異なりますが、基本的にゾンビは動く死体であり、生前の知能はほとんどなく、まだ生きている者を見つけて食べるために襲いかかってきます。そして、ゾンビに噛まれた者は、同じくゾンビになってしまいます。

元々ゾンビというのは、ブードゥー教にルーツを持つ概念で、「不思議なパワーを持ったもの」全般を指す言葉でした。そんなゾンビの現在における怪物像を確立したのが、映画監督のジョージ・A・ロメロです。

ロメロ監督が初めてゾンビを題材にしたのは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』という映画です。この作品において、ロメロ監督はゾンビをブードゥーの影響から切り離し、独立した怪物として定義しました。

そして、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のテーマをさらに深く掘り下げると同時に、より大きなスケールでゾンビを描いたのが、今回紹介する映画『ソンビ』です。

この映画では、地球上の人間の死体がゾンビとなって蘇る謎の現象によって、人類の文明は壊滅してしまいます。数少ない生き残りである主人公らはショッピングモールに逃げ込み、一度は店舗内のソンビを一掃するのですが、外からやってきた暴徒たちによってバリケードが破られてしまい、やむを得ず脱出する。そういうあらすじです。

分類的にはホラー映画なのですが、実はゾンビ自体はそれほど怖くありません。数こそ多いものの、動きはのろく、知能も低いため、油断さえしなければ問題なく対処できます。それなのに、なぜ人類はゾンビに負けてしまったのか。その答えがショッピングモールの出来事を通して間接的に描かれます。

劇中の登場人物が死亡するのは、慎重さを欠いたり、感情に流されて暴走したりすることが原因です。そもそも、せっかく主人公たちが築いた安全圏を、愚かな暴徒たちはなにも考えずに台無しにしてしまう……。この映画が描いているのは、ゾンビの恐ろしさではなく、冷静に対処すれば勝てるはずのゾンビに負けてしまう、人間の愚かさなのです。

この映画の後、ゾンビという怪物は一大ブームとなり、多種多様なゾンビ作品が作られるようになりました。今では「ゾンビ物」というジャンルすら出来上がるほどです。しかし、いくら時代を経て、技術が進歩しても、この映画が輝きを失うことはありませんでした。それは本作が、ただの怪物映画ではなく、人間の普遍的な一面を映しているからにほかなりません。

ゾンビ映画の古典『ゾンビ』。この映画はこれからも語り続けられていくことでしょう。