黒澤明映画の「動き」に注目せよ

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世界的に有名な日本人の映画監督といえば黒澤明ですが、なぜ黒澤映画はこうも印象に残るのでしょう?

その秘密の一端を、映画エッセイストのトニー・シュウさんが解説しています(以下の動画は、設定から日本語字幕を選択してください)。

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トニーさんが注目するのは「動き」です。黒澤映画の動きは独特。どの作品もさまざまな動きの傑作ぞろいだと言います。

「黒澤はまるで映画監督のベートーヴェンだ。ベートーヴェンの音は誰だってすぐわかる。間違えっこない。それと同じさ」

黒澤監督がよく使う動きは、次の5つです。

  • 「自然の動き」……どの作品でも背景には必ずなんらかの天候が写っている。風、水、炎、煙、雪など。こうすることでぐっと絵が良くなる。
  • 「群衆の動き」……黒澤映画にはいつも人々が集まったり、散らばったりする場面がある。画面に人を詰め込めば印象は倍増する。
  • 「個人の動き」……黒澤映画の人物はたびたび誇張された芝居をする。不安で右往左往したり、怒りにかられて立ち上がったり、屈辱で泣き崩れたり。
  • 「カメラの動き」……流れるようなカメラワーク。それだけでなく、動きにはっきりとした始まり、中間、終わりがある。カメラの動きだけで、もうストーリーになっている。
  • 「カットの動き」……黒澤監督はあるシーンを終えるとリズムを変える。たいていは静かなシーンで終わらせ、次の瞬間、いきなり動きをぶつけてくる。巧みなリズムに観客は引き込まれる。

黒澤監督はこれらの動きを組み合わせ、映画的な動きを作り出していました。その極意は、シーンの意味を考え、それを動きで表現できないかと試行錯誤することにあります。

「視覚的刺激こそが観客の心を動かすんだ。そのために映画はある。さもなきゃ画面なんか消してラジオを聞いてりゃいい」