小説、漫画、映画など、フィクション作品には必ずキャラクターが登場します。そして、キャラクターは台詞を話します。
台詞には良し悪しがあります。良い台詞は読者(あるいは視聴者)をストーリーに引き込みますが、逆に悪い台詞は、読者をつまらない現実に戻してしまいます。
では、いったいどういう台詞が「良い台詞」なのでしょうか。その条件を9つほど挙げてみました。
良い台詞の9つの条件
条件1:適度な現実感がある
そのキャラクターが実在しているかのように感じさせる台詞は、良い台詞です。しかし注意したいのは、現実の会話とフィクションの台詞は異なるということ。あまりに台詞が現実に近すぎると、逆に嘘っぽくなります。
条件2:キャラクターが立っている
キャラクターにはそれぞれ固有の態度や価値観があるはず。それらが表れている台詞を考えましょう。
条件3:新しい情報がある
情報を伝えることは、台詞に求められている役割のひとつです。ただし、「◯◯ならあそこです」みたいに、ただ情報を伝えているだけだとつまらなくなってしまうので、言い方を工夫しましょう。
条件4:感情や動機が読み取れる
そのキャラクターが抱えている感情、あるいは行動の動機が、その台詞から読み取れること。これもまた、台詞に求められている役割です。
条件5:ほかのキャラクターとの関係性が表れている
誰だって、人間関係や状況に応じて話し方は変わるでしょう(特に、対立している相手ならなおさら)。話者と相手との関係性がちゃんと台詞に反映されていればグッドです。
条件6:相手に反応を起こさせる
話者の台詞がトリガーになって、相手の反応を引き出す。会話の基本中の基本です。
条件7:ジャンルにマッチしている
自分が手がけているジャンルに合った台詞を選択しましょう。たとえば、コメディなら軽い調子、ホラーやサスペンスなら緊迫感を感じさせるといった具合に。
条件8:その時々の状況に即している
たとえば、テロリストに人質に取られているときに、夕飯の献立について喋るような人物はいないでしょう。今のは極端な例ですが、「この台詞は現在の状況に合っているか?」は常に考えておきたいところです。
条件9:読者にインパクトを与える
「そのキャラクターらしい台詞を書く」というのは重要ですが、それと同じくらい大切なのは、「読者の感情を揺さぶれているか」ということです。結局のところ、作品というのは読者に読んでもらうためにあるわけですから、読者の心に刺さらなければ意味がありません。
より詳しく知りたい方へ
今回のエントリーは、『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』に書かれていた情報をもとに、よりわかりやすく独自のアレンジを加えたものです。こちらの本は、中級者〜上級者向けになっており、そのぶん内容が難しくなっています。ある程度、創作に慣れてきた方が読むことをおすすめします。