キャラクターの台詞について。前回は、良い台詞が持っている条件を述べました。
そこで今度は、悪い台詞の条件について見ていきたいと思います。前回と同じく、9つほど挙げてみました。
悪い台詞の9つの条件
条件1:どことなく硬い
滑らかさがなく、ロボットが話しているようなぎこちなさがある。そのような台詞はNGです。この失敗を避けるためには、普段から人々がどのように話しているのかを観察しましょう。
条件2:なにか不自然
たとえば、地の文では「言っていた」と書くべきでも、キャラクターの台詞なら「言ってた」とすべきです。正しい文法は、台詞においてはむしろ不自然になる場合がほとんど。また、説明的すぎる台詞も同様に避けましょう。
条件3:ありふれている
あるキャラクターが「愛してる」と言ったとします。それに対して、もうひとりキャラクターはなんと答えるでしょう? 「私も愛してる」では、いかにもありふれています。ちなみに、『スターウォーズ 帝国の逆襲』では「知ってたさ」と答えました。
条件4:キャラクターが喋りすぎ
たまに数ページにわたって喋り続けるようなキャラクターを見かけますが、演説でもないかぎり、そんなに長々と喋るような人はまずいません。1ページが丸ごと台詞で埋まってしまうようなら、その台詞は見直しましょう。
条件5:個性がない
どのキャラクターも同じような喋り方をしている。そんな台詞は、当然ながらNGです。キャラクターたちはそれぞれ別の人間なのだから、自然と話し方も違ってくるはず。
条件6:つなぎ言葉が多い
「そして」「それから」「でも」「しかし」「なぜなら」「だから」「それに」「また」「えっと」など、無駄なつなぎ言葉はなるべく減らしていきましょう。
条件7:雑談
世の中には「無意味な会話」をウリにしている作品もありますが、それはそれ。基本的に、雑談は避けましょう。ストーリーに関わらない会話は、ただ退屈なだけです。
条件8:変な語尾や口癖で差別化を図る
変わった口癖や妙な語尾を設定すればキャラクターは個性的になる。もし、そのように思っているのなら、それは大きな間違いです。本当の個性とは、キャラクターの内面から生じるものです。
条件9:間違った外国語
外国語の台詞を描写する場合、言葉を間違えないようにしましょう。また、これまで見てきたように、文法的に正しいのはむしろ不自然で、「台詞としてのリアリティ」が求められます(そのため、外国語を描写するのは難易度が高く、自分がよく知らない言語は避けたほうが無難です)。
良い台詞を書き、悪い台詞を避けるには
前回と合わせて良い台詞・悪い台詞を見ていきましたが、ここに書いたことがすべてではありません。ほかにも「これはまずい」という台詞があったり、逆に「これは素晴らしい」という台詞があったりします。それらは、他人の作品を読んだり、また自分で台詞を書いたりして覚えていくしかありません。
ここに書いたことが、少しでも創作者たちの助けになれば幸いです。
なお、今回のエントリーも前回と同じく、『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』の内容を参考に、より初心者向けにアレンジしたものになっています。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ下記の本を手にとってみてください。