仕事中、哀しみが襲ってきた。
誰もいない会議室でひとり泣いていた。
涙が止まったあと、ティッシュで机を拭いた。
拭きながら、もし自分がコロナだったら、この液体に触れた人は感染しちゃうな、と思った。
その後は泣かなかったが、胸が痛かった。
愛が手に入らない哀しみ。人生の無価値さから来るストレス。
帰宅後、ふと夕刊の記事が目に止まった。
新型コロナの影響で障害者雇用が激減しているというニュースだった。
職を探して彷徨っている50代男性の様子が書かれていた。
この男性に比べたら、自分はマシなのか?
職が見つからない障害者に比べて、自分は幸せなのか?
違う。
幸せなんかじゃない。
職とはお金を得るための手段だ。
お金は、幸せとは違う。生活を引き伸ばすための道具だ。
彼らと自分の違いは、死の瞬間を引き伸ばせるかどうかという差でしかない。
いくら死の瞬間を引き伸ばしたところで、幸せでないなら大差ない。
この自分の人生は、まちがいなく不幸だ。