前回の続き。
今回はストレスで表れる反応、ストレスと国の繁栄度、生きがいとストレスの関係について。
ストレスで表れる反応
ストレスで表れるのは「闘争・逃走反応」だけではない。
- 逆に他人を信用するという反応が表れることもある。
- ほかにも「チャレンジ反応」「思いやり・絆反応」「火事場の馬鹿力」「興奮・喜び反応」などがある。
どのストレス反応においても、最終段階は「回復」であり、身体と脳がストレスのない状態へ戻っていく。
- ストレスホルモンの分泌によって心身の回復が早まる。
- ストレスが脳に刻まれることで、次に同様のストレスを感じたときにうまく対処できるようになる(ストレス免疫)。
どのストレス反応が起こるかは自分で決められる。
- たとえば、大勢の前でスピーチしなければならないとき、心臓が激しく打つのを「不安だから」ではなく、「チャレンジ反応だ」と思うようにする。
- そうすると、実際に脳は「チャレンジ反応だ」と認識して、身体にプラスの作用をもたらす。
生まれつきストレスに敏感な人たちもいる。逆説的かもしれないが、そのせいでうつ病や不安症など、ストレスによるマイナスの結果につながる可能性が高くなる一方で、思いやりが深まり、人として成長するなど、プラスの結果につながる可能性も高くなる。
- しかし、そのような遺伝子の差異によって、運命が決まってしまうわけではない。
- ストレス反応にはいくつもの種類があるのを思い出すことで、たとえ困難な状況は変えられなくても、自分自身のストレスの受け止め方は変えられる。
- 「自分はどのように反応したいか」に意識を集中させると、それにしたがって、あなたの身体の状態も切り替わる。
- 自分も明らかに「生まれつきストレスに敏感」な性質なので、この点はよく意識する。
ストレス度指数が高い国ほど、繁栄度も高い。
平均寿命が高く、GDPも高い。国民の幸福度や人生に対する満足度も高い。
世界各国の人々が「ストレスが多い」というとき、その内容は、客観的に見て明らかな社会的な悪条件とは必ずしも一致していなかった。
- モーリタニアのように、貧困や飢餓が蔓延し、汚職や暴力が横行している国の人々は、必ずしも自分たちの生活はストレスが多いと思っていない。
最も幸福な人たちは、大きなストレスを感じていながらも、精神的に落ち込んでいなかった人たちだった。
- 逆に、最も不幸な人々は、屈辱感や怒りを強く感じている一方、喜びはほとんど感じておらず、そこには「ストレスの明らかな欠如」が見られた。
- 著者はこれを「ストレス・パラドクス」と呼んでいる。
人生に生きがいを感じている人は、心配事が多く、ストレスも多い。
自分の役割にしっかりと取り組み、目標に向かって努力すれば、目的意識を持って生きていける一方で、ストレスも避けられない。
人生のストレス源の中で大きいもの。
- 「仕事」「育児」「人間関係」「介護」「健康問題」などがトップにあがる。
ストレスを感じるのは、人生がうまくいっていない印ではなく、自分にとって大事な活動や人間関係に、どれだけ熱心に取り組んでいるかを示すバロメーターと言える。
- 多くの人は「こんなに忙しくなかったら、もっと幸せになれるのに」と思っているが、実際は正反対(本当か?)。
- 退屈は死亡リスクを高める。
人間は苦しみに耐え、その意味を理解するための本能と能力が備わっている。その本能は、身体に表れるストレス反応の一部でもあり、過去についての熟考、スピリチュアルな探求、内省といったかたちで表れる。
- しかし、やはり個人が耐えられる苦しみには限界があると思う。ストレスに対して考え方を変えるの同時に、ストレスの量をコントロールすることも重要だろう。

- 作者: ケリー・マクゴニガル,神崎朗子
- 出版社/メーカー: 大和書房
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