『Yの悲劇』読書メモ

エラリー・クイーンの超有名なミステリー小説。今更ながら読んでみた。本作は『Xの悲劇』から続く、探偵ドルリィ・レーンが活躍する4部作の2作目である。

大学時代にレーン4部作を読もうと思い立って、1作目の『Xの悲劇』を読み終えた段階でずっと止まっていた。このまえ、ふとそのことを思い出し、こうして続編を読みだしたしだい。

ミステリーなのでネタバレするわけにもいかず、感想を書くのが難しいが、抽象的に述べてみよう。

まず本作の魅力は、なんといっても意外な犯人にある。『アクロイド殺し』などにも通ずる意外性だ。有名なのでちょっと調べたら簡単にネタバレが見つかってしまうが、できればまっさらな状態で読みたい。それが一番楽しめる。

一方、探偵であるレーンの推理は論理的で、犯人が犯人である理由に説得力を与えている。実に鮮やかだ。

なぜ、犯人はマンドリンを凶器として用いたのか?

盲目の女性が嗅いだという「バニラの匂い」とはなんなのか?

きちがいハッター家に隠された秘密とはなにか?

数々の理不尽な謎が、これがただの殺人事件ではないことを予感させる。この雰囲気こそ、本作最大の魅力であろう。

そして真相を突き止めたとき、「犯人をどう処理するか」という最大の難問がレーンを苦悩させる。

読了後、もう一度レーンが犯人の姿を覗き見るシーンを読むと、彼が受けた衝撃がありありと伝わってくる。このときのレーンの心情は、漫画『デスノート』の終盤で松田がキラに銃口を向けたときの心情とまったく同じだったろう。

きちがいハッター家に起こったことは、もとは不幸な偶然だった。出生のくじ引きで外れを引いてしまっただけなのだ。

しかし、不幸が積み重なっていき、それが「呪い」として結実したとき、この犯人が誕生したのである。

まさに、この世の不条理が形となったのだ。

Yの悲劇、それは、とある一族の恐るべき運命を描いた名作ミステリー小説である。

Yの悲劇

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