読書メモ『いい文章には型がある』

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『いい文章には型がある』という本を読んだ。タイトルで察せられるとおり、文章の型について書かれた本だ。以下は、その内容に関する覚え書きである。

本書は、文章のタイプを「主張型文章」「ストーリー型文章」「直観型文章」の3つに分類し、それぞれの特徴を述べている。ほかの文章指南本に見られるような、「が」と「は」の使い分けや、句読点の打ち方といった細かいルールよりも、この3つの型を意識することが重要であるという。

では、3つの型の具体的な特徴を見ていこう。箇条書きの部分が本書内からのメモで、それ以外の文章は個人的な感想である。

主張型文章

  • 主張型文章とは、いわゆる論文やニュース記事のような意見文のこと。
  • 問題+解決+根拠で構成される。
  • 問題を設定するのがキモ。
  • 問題設定はニッチ産業。誰もが知っている問題に価値はない。
  • ひとつのメッセージを表しているときは1段落で書くのが原則。
  • 結論部分で新しいことを書いてはならない。
  • 読者の反応を予想して、あらかじめ疑問点を先回りして回答しておくのがテクニック。

一般的な文章指南書で書かれているのは、だいたいこの主張型文章に関してだろう。そういう意味では、この項目に特に目新しい指摘はない。

主張型文章では「読みやすいこと」が第一なので、文体で個性を出すことは憚れる傾向にある。

それはつまり、フォーマットがかっちり決まっているということだ。自由度が少ない。そのため、将来的に主張型文章はAIが代筆するようになっていくのではないか、と予想している。

そうなると、人間がやるべきことは問題設定くらいになり、ますます産業としてはニッチになっていくのではないか。

ストーリー型文章

  • 小説などの物語を語る文章のこと。
  • 「いつ」「どこで」「誰が」「なにをして」「どうなったか?」というスタイル。
  • 場面(シーン)=「いつ」「どこで」「誰が」「なにをして」などがある程度まとまった一区切り。
  • フレンチ・シーン=登場人物の出入りによって場面を区切る手法。
  • 主人公の行動で場面を区切る手法もある。
  • フラット・キャラクター=1面的な特徴しか持っていないキャラクター。
  • ラウンド・キャラクター=いくつもの面を持つ複雑なキャラクター。

小説やシナリオの指南書では、こちらの書き方が載っている。

本書で述べられているのはあくまで基本的な事項という感じ。詳細なストーリー創作、特に面白さを出す手法を学びたいのであれば専門書を読んだほうがよさそう。

主張型文章ほど文章は正確でなくてもかまわないが、「いつ」「どこで」「誰が」「なにをして」「どうなったか?」を記述する関係上、最低限の文章力は求められる。しかし、なによりも重要なのは、やはりストーリーを発想する想像力だろう。

直観型文章

  • 随筆やエッセイのこと。
  • 体験・感想・思考の3セット。
  • 主張型文章とストーリー型文章の中間に位置する。
  • 随筆=推論や説明を省略して、読者の自主性に任せる。
  • 文章に引っかかりをもたせることが直観型文章のコツ。

ブログやSNSの普及により、直観型文章は昔よりも遥かに見かけるようになった。その理由として、自分の体験がベースになので楽なこと、主張型文章よりも自由に書けることなどが挙げられる。昔はエッセイを書くのは一握りの文筆家という感じだったが、今ではアマチュアを含め、一番競争が激しい分野かもしれない。

そのぶん、「うけるエッセイ」の質も変わってきている。以前は上手なエッセイというと落ち着いた文章のイメージだったが、現在は、とにかく読者に刺激を与えることを第一にした激辛文章がうけるようになった。

主張型文章とは理由が異なるものの、レッドオーシャン化しているという点で、産業としては難しくなっている印象がある。

まとめ

以上、3つの型をまとめてみた。

文章を書くことだけならほぼ誰にでもできるが、産業としてみた場合、3つの型それぞれに難しさがあり、頭角を現すのは並大抵のことではない。やはり、上手な文章を書くことは、それ自体が特殊技能なのだろう。

今後、文筆業の世界がどうなっていくのかは興味が尽きないが、それはそれとして、自分がどういう文章スタイルを目指していくのかの指針になるという点で、本書はいいものだった。

いい文章には型がある (PHP新書)

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