キルモンガーは絶対に許さない、絶対にだ。〜映画『ブラックパンサー』感想

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許さない。キルモンガー、絶対に許さない……。

映画『ブラックパンサー』を見てきたのだが、その結果、「キルモンガー許せん」という感情を抱くことになった。私は映画を見ている最中にリアクションを起こすことはめったにないのだが、今回、彼がある人物を殺害するシーンでは思わず目を背けた。

ここから先はネタバレなので、未鑑賞の人は注意。

あいつは殺した。ユリシーズ・クロウを。世間はキルモンガーに同情的な声が多いようだが、クロウを殺したという一点だけで、もはや万死に値する。

私は『エイジ・オブ・ウルトロン』の頃からクロウに注目していた。ワカンダからヴィブラニウムを盗み出したという重要な立ち位置でありながら、ピエトロのスピードにびびり、ウルトロンに片手を切られてしまう小物っぷり。一方で今回、その切断された片手のかわりにアームキャノン(格好いい!)を仕込んでくるというリベンジ精神。彼こそまさに今後のMCUを背負って立つ男だった。それをあいつは……!

実際のところ『ブラックパンサー』という映画は、黒人がメインだったりアフリカンな音楽が最高だったりという点を除けば、ストーリーは平凡で、退屈とは言わないまでも、褒めちぎるほど面白い映画ではなかった。その中で文句なしに面白かったのが、韓国でクロウを逮捕するまでの一連の流れなのである。

あのシーンはアクションも見やすく(これの前に描かれたジャングルでの戦闘シーンは、暗くてなにをやっているのかわからなかった)、カーチェイスのスピード感と合わさって、血がたぎるシーンになっていた。さらにブラックパンサーの新必殺技である「パンサー衝撃波」が初披露されるなど、掴みもばっちりだった。それもこれもユリシーズ・クロウというキャラクターがいたからこそである。

クロウというキャラクターはアームキャノンが格好いいだけでなく、「盗みを働く小悪党」という設定が非常に便利だった。とりあえず物語を動かしたかったら、クロウになにか重大なものを盗ませればいいのである。この設定は、後のMCU作品においても便利だったことは疑いようがない。

ところが、クーグラー監督はなにを血迷ったのか、そのクロウをキルモンガーの引き立て役として殺してしまうのである。これは間違った判断だ。

なるほど、確かにキルモンガーは『ブラックパンサー』という作品において重要な役割を果たしている。しかし、所詮は1回きりの出番で充分という程度だ。それに比べれば、クロウには後々のシリーズ作品で何度でも使えるという可能性があった。実際、MCUではロキが何度も活用されているのだから、クロウもそうしたって別に構わないはずである。宇宙や神々の世界ではロキが、地球ではクロウが、それぞれ何度も悪事を企てる。彼らの悪事によってストーリーは動き、ヒーローたちの出番となる。こうした様式美を確立するチャンスだったというのに……!

唯一、溜飲が下がったのは、クロウを殺したキルモンガーも死ぬということだ。はっきり言って、キルモンガーが死んだシーンでは喝采をあげたかった。陛下は優しいのでキルモンガーの傷を手当しようとしたが、私はそうではない。彼にはクロウの死の責任をきっちり取らせるべきだ。

それにしても陛下は素晴らしかった。今作でクロウ以外に見所があったかといえば、それは間違いなく陛下だろう。なんといっても陛下は可愛い。パンサースーツの猫耳はわかりやすいチャームポイントとして、性格面では、戦闘中に元カノと再会して固まってしまう純情っぷりがいい。あとは終盤、キルモンガーの前に再び姿を表した際、「陛下、まだ死んでないし降参もしてないから!」(意訳)と強がるところもいい。MCUはこれまでにさまざまなタイプのヒーローを送り出してきたが、ここへ来て萌えキャラヒーローまで投入してきた。着々と盤石の布陣を築いている。素晴らしいとしか言いようがない。

だからこそクロウが死亡したことは本当に残念だった。できることなら、最低でもあと2作くらいブラックパンサーの映画に出演して、陛下との因縁の関係を続けてほしかった。この悲しみをどうやって癒やせばいいのか……。