「この拳は世界を救う。クン・ルンに留まる運命じゃない」
Netflix限定オリジナルドラマ、『アイアン・フィスト』のあらすじと感想。今回はシーズン1の第12話。
前回のレビューはこちら。
あらすじ
シーズン1 エピソード12 - ヘビの頭を叩け
精神病院。父の幻影にうなされるウォード。かなり精神的に参っている。そこにバクトが現れる。彼はハロルドを倒すため、ウォードを仲間にしようとする。
一方、ダニーはコリーンと再会するが、ダヴォスは彼女を警戒する。激しい対立を抱えながら、3人はバクトを倒そうとする。
隠れ家で計画を実行しているハロルドとジョイ。そこへウォードが現れる。
ジョイが父と一緒にヤミノテを倒そうとしていることを知ったウォードは、今すぐ父から離れるよう妹に言う。「父さんはお前を利用しているだけだ」と説得するが、ジョイは信じない。
ウォードは父が殺人を犯したことを告発するが、それが逆に、「兄は精神が錯乱している」とジョイに思わせる結果になってしまう。
追い詰められたウォードは拳銃を振りかざし、無理やりジョイを連れて行こうとする。だがそこに、バクトが部下を引き連れて姿を現す。
「バクトに協力すれば自分とジョイは助かる」という取引を交わしたウォードだったが、その約束をバクトは反故にする。
口座の資金移動を再開させたあと、バクトはハロルドの頭を切り落とそうとする。首を切れば生き返ることができないからだ。その様子を見て、ジョイは取り乱す。「妹の前ではやめてくれ」とウォードが懇願すると、バクトは「電話を貸してくれ」と言う。
バクトが電話をかけた先はダニーだった。彼はミーチャム家の人々を人質にとったことを告げたあと、ジョイの脇腹を拳銃で撃つ。さらにハロルドの首筋にも刀を向けつつ、「彼らを救いたければここへ来い」と要求する。
30分後、「時間切れだ」とバクトはハロルドの頭を切り落とそうとする。最後に遺言はあるかと尋ねたところ、ハロルドは息子に向かって「我が人生最大の失望だ」と言い、娘には「二度と兄を信じるな。愛している」と伝える。
そのとき、間一髪ダニーがやってくる。バクトはダニーに手錠をかけ、部下とともにエレベーターに乗り込む。その際、彼はミーチャム家に対して「なんて腹黒い連中なんだ」と呆れ果てるのだった。
ダニーは、自分を連れて行く目的をバクトに問う。彼によれば、ヤミノテ内の別の人物がダニーを仲間にしたがっているのだという。
エレベーターが1階に到着した。長い廊下を歩いている途中、ダニーは光る拳を発動させようと試みる。しかし、発動した拳はすぐに消えてしまった。だがダニーがヤミノテの気を引いた隙に、コリーンとダヴォスが奇襲を仕掛ける。
戦いはダニーたちが優勢になり、バクトは逃走する。それを追う3人。
激しい雨が降るなか、公園の広場でコリーンとバクトの一騎打ちが始まった。刀と刀が交差する。決闘はコリーンの勝利の終わり、バクトはその場に倒れる。
警察を呼んでバクトを逮捕させようとするコリーンだったが、ダヴォスが短刀でとどめを刺してしまう。
「ここでは殺しは許されない」と怒るダニーだったが、逆にダヴォスは、「お前は戦士じゃなくなった」とダニーを挑発する。言い争いはエスカレートし、2人は私闘を始めてしまう。
戦いの末、ダヴォスはダニーを置いてどこかへ去ってしまう。一方、残された二人が気づいたとき、バクトの死体は姿を消していたのだった。
その頃、ウォードとハロルドは、撃たれたジョイを病院に運んでいた。ジョイの手術中、ダニーからハロルドへ電話がかかってくる。バクトを倒した、という連絡だった。その報告を聞いて、ハロルドは邪悪な笑みを浮かべる。
ヤミノテとの戦いを終えたダニーは、コリーンとともにチカラ道場で身体を休める。そこにウォードから「そこから離れろ。父の罠だ」というメッセージは入る。
その直後、チカラ道場に武装した部隊が突入してくる。ヤミノテの手先かと思い彼らを打ち倒すダニーとコリーンだったが、倒した部隊の服装をよく見てみると、なんと彼らは麻薬取締局。わけも分からず追い詰められ、2人はとにかく道場から逃げ出すのだった。
感想
一応、今回でヤミノテとの戦いは終了になる。「一応」というのは、ここまで視聴した人ならわかるとおり、バクトは蘇るため。
ただし、同ドラマ内ではバクトの出番はもうなし。次に彼が登場するのは『ザ・ディフェンダーズ』においてだ。
では、『アイアン・フィスト』のシーズン1において誰がラスボスになるのかといえば、それはもちろん、ハロルドである。ここまでダニーに対しては味方のふりをしてきたが、ヤミノテが退場した今、彼はダニーをも排除しようと動き出すのだ。
……という流れでクライマックスなのだが、正直、今ひとつ盛り上がらない感じがある。というのも、最終的にハロルドがダニーを切る気なのは誰が見ても明らかだったからだ。ダニーからすれば唐突でも、視聴者視点では「ようやくか」という感想が拭えない。
やはり、シーズン1のプロットはいろいろ問題を抱えているように思う。
そんな中でも面白かったのは、ミーチャム家の人々だ。バクトすらも「なんて腹黒い連中なんだ」と呆れるほどの邪悪っぷり。どう転んでも涙目になるウォード。下手なコメディよりもずっと面白い。このシーズン1はミーチャム家に支えられていたといっても過言ではない。