認知行動療法をゲーム形式で学べる「SPARX」。先日、ようやく全レベルをクリアしたので、感想がてら学んだことをまとめてみようと思う。
SPARXの概要はこちら。
希望は自分の中にある
最初に学んだのは、「希望は自分の中にある」ということだった。
どんなに現状が悪くても、その状態がずっと続くわけではない。事態は必ず良くなる。そう信じることが大切だ、という話だ。
実際、「自分はずっとこのままなんだ……」と絶望したままでは何も変わることはない。希望はあると信じることが、自分を変える第一歩なのだ。
落ち込んでいるときこそ行動する
レベル2では、「行動する」ということについて学んだ。
心が落ち込んでしまうと、エネルギーがなくなり、活動量が減ってしまう。それによって、さらに気分が悪くなるという負のスパイラルに陥ってしまう。
負のスパイラルを回避するためには、落ち込んでいるときでも何か行動を起こす。簡単なことでいい。ちょっと散歩するとか、友達に電話してみるとか、瞑想するとか、今の自分にやれることをする。
楽しいこと、達成感を得られることを行うことで、エネルギーは補充される。だから、落ち込んでいるときこそ、何か行動をすることが大切なのだ。
ネガティブな感情に気づく
怒り、動揺、傷心、悲しみ──こうしたネガティブな感情に気づき、コントロールする。それを学んだのがレベル3だった。
まずは「気づく」ことから始めた。怒ったり悲しんだりしているとき、自分の身体にどんな反応が起こっているか。何が原因でネガティブな感情が沸き起こってきたのか。それを自覚することで、自分を客観視できるようになる。
原因に気づいたら、次はその感情をコントールする。これには3つのスキルがある。
- 気晴らしをする──スポーツ、映画鑑賞、おしゃべり、読書など、自分が好きなことをしてネガティブな感情を別の対象に向ける。
- 止める・捨てる・音量を下げる──役に立たない考えを紙に書き出すなどをして、これ以上、考えないようにする。
- 向き合う──もし本当に問題なら、落ち着いて良いタイミングを選び、向き合う。
また、「BLINC」という、人の話を聞くスキルについても学んだ。
- 挑発的に話さない
- 話している人を見る
- 話をさえぎらない
- 自分が正しく理解しているか相手に確認する
解決する方法
レベル4では、「解決する」ということについて学んだ。
落ち込んでいるときは、目の前の問題が登頂不可能な巨大な山に見える。こういうときには、「STEPS」というスキルを使って解決していく。
- 問題が何かを「言葉にする」。
- できるだけたくさんの解決方法を「考える」。
- 上記の方法の良い点と悪い点を「検討する」。
- 1つを選んで「試してみる」。
- 結果を確認して、上手く行かなかったら「別の方法を試してみる」。
歪んだ思考に気づく
「自分は極端で歪んだ思考をしていないだろうか?」ということに気づくのが、レベル5の肝だった。
歪んだ思考に囚われていると、気分は悪くなる一方だ。以下のような思考は改めて、自分の現状を客観視しよう。
何にでも否定的
欠点ばかりを見て、良いところを見逃している。
完璧主義
自分に完璧を求めすぎている。
相手の心がわかるという思い込み
他人の心を読もうとして勝手な推測をしている。
罪悪感
自分の責任ではないことに対して、自分を責めている。
破局的
実際より大げさに考えている。
全か無かという極端な考え方
例外を考えず、極端な見方をしている。
ネガティブ思考を有益な考えに変換する
レベル6では、ネガティブ思考を有益な考えに変換するための「RAPA」というスキルを学んだ。
- R=Reality check「現実的かを検討する」
- A=Alternative way「異なる視点で見る」
- P=Perspective「より広い視野を持つ」
- A=Action「行動する」
現実的かを検討する
どうしたらその考えが正しいとわかるのだろう? すぐに結論を出す前に、状況を見て、現実的な考えかどうかを検討しよう。
異なる視点で見る
物事の別の見方はあるか?
より広い視野を持つ
それは、自分で思うほど悪いことか? 起こり得る最悪の事態はなんだろう?
行動する
何ができるか? または、失敗から何が学べるか? ネガティブなことをくよくよ考えない。問題について考えるのではなく、解決方法を考える。そのほうが、もっとやる気が出る。
歩み続ける
最後のレベル7は、これまでのまとめだった。
その中でも重要だったのが、「たとえ落ち込んだとしても、遅かれ早かれ希望は戻ってくる」ということと、「自分はいつか状況を変えると信じる」ということだ。
どんなに訓練しても、憂鬱な気分は戻ってくることがある。そういうときに「すべては無駄だった」などと絶望せず、また希望は戻ってくると信じて歩み続けること。そうした積み重ねが自分の状況を変えていくのだ。
また、ガイドのお姉さんからは「前向きになることが常に正しいわけではない」というアドバイスももらった。無理やりポジティブになるのではなく、あくまで客観的に現状を分析することが大切なのだ。
SPARXを終えて
約半年をかけてプレイしてみた。その間に、少しずつだが、僕の状況は良くなってきた。以前に比べて不眠はほとんどなくなり、呼吸困難なほどの動悸は起こらなくなった。ネガティブ思考になることも減ってきている。こうした改善は、認知行動療法を自分なりに実践してきた成果だと思う。
正直なところ、プレイ日記を書くのもつらいときがあったが、最後までやり通してみてよかった。
今後も、SPARXで学んだことを糧に、いろいろ勉強して、自分の状況をより改善していこう。