『内向型人間のすごい力』という本の読書メモ、パート2。
前回はこちら。
「高反応」の内向型向けの職業
内向型の人は、外部からの刺激に対して「高反応」を示す性質を持っていることが多い。
「高反応」の人は、ライターのような、自分自身が責任者である職業につくことが多いという。普段から刺激に対して敏感である故だろう。「ドアを閉め、ブラインドをおろして、仕事に専念できるし、予想外の出来事に遭わないで済む」。学歴があまり高くない場合には、同じ理由から、事務員やトラック運転手になる傾向があるという。
「高反応」の良い面と悪い面
「高反応」の子供は、両親の不和や死、虐待などに対して非常に脆弱である。つらい出来事を体験すると、鬱状態に陥ったり、不安に襲われたり、極端に内気になったりする傾向が標準的な子供よりも強い。
ある学者によると、彼が高反応とする子供たちの4分の1は、程度の差こそあるものの、強い不安を主訴とする「社会不安障害」に悩まされているという。
一方、高反応の子供は、安定した家庭環境できちんと育てられれば、低反応の子供よりも感情的問題を抱えることが少なく、ソーシャルスキルにも優れる傾向がある。
「高反応」の良い面。
- 共感する力が強い。
- 協力的で思いやりがある。
- 親切で誠実。
- 残酷さや不正や無責任に心を痛めやすい。
- 大切だと思ったことは成功させる。
生まれ持った気質は消えない
シュワルツの研究は重要な事実を示唆している。性格を変化させることはできるが、それには限度があるのだ。年月を経ても、生まれ持った気質は私たちに影響をもたらす。性格のかなりの部分は、遺伝子や脳や神経系によって運命づけられている。とはいえ、高反応の子供たちの一部に柔軟性が見られたことは、その逆もまた真だと示している。私たちには自由意志があり、それを使って性格を形づくれるのだ。
自分の「スイートスポット」を探す
外向型にせよ内向型にせよ、人間は皆、自分に最適なレベルの刺激を求めている。
自分にとって覚醒の活性が高すぎも低すぎもしない、退屈も不安も感じない状況。心理学者が言うところの「最適な覚醒レベル」。著者はこれを「スイートスポット」と呼んでいる。
自分のスイートスポットを知っている人は、自分を消耗させる仕事を辞めて、満足できるあらたな仕事に就くパワーを持つ。自分の家族の気質に合わせて家を見つけることもできる──内向型には窓辺の椅子など居心地のいい場所がそこここにある家を、外向型にはリビングやダイニングのスペースが広いオープンな雰囲気の家を。
とても敏感な人
心理学者のアーロンは、内向型を自認する人と、さまざまな刺激に大きく動揺するという人の合計39人と面接、好きな映画、最初の記憶、両親や友人との関係、恋愛体験、クリエイティブな活動、哲学観や宗教観などについて質問した。その結果を基にして膨大な質問集を作り、いくつかの大きな集団に対して実施した。そして、被験者たちの回答を分析して、27の特質をまとめた。彼女はこれらの特質を持つ人々を「とても敏感な人」と名付けた。
「とても敏感な人」にありがちな特徴。
- 行動する前に熱心に観察する。
- 計画から大きく外れない人生を送ろうとする。
- 見聞きすること、匂い、痛み、電球の光やコーヒーなどによる刺激に敏感であることが多い。
- 他人に観察されたり、評価されたりするのが苦手。
- 物質的・享楽主義的であるよりも、哲学的・精神主義的な傾向がある。
- 音楽や自然や天然の美を愛する。
- 激しい喜びや悲しみ、憂鬱、恐れなど、極めて強い感情を抱く。
- 道徳や良心を大事にする。
- 無駄話が好きではない。
- 自分をクリエイティブ、あるいは直観的と表現する。
- 普通なら見逃してしまう微妙なことに気づく。
- 時として強く感情移入する。
アーロン曰く「『敏感な』あるいは『高反応な』タイプは行動する前にじっくり観察して戦略を練る。そのため、危険や失敗やエネルギーの無駄遣いを避ける。これは『本命に賭ける』あるいは『転ばぬ先の杖』という戦略だ。対照的に、逆のタイプの積極的な戦略は、完全な情報がなくても迅速に行動することで、リスクを伴う。つまり、『早起きは三文の得』であり『チャンスは二度ない』から、『伸るか反るかの賭けに出る』のだ」
もし、あなたが敏感なタイプならば、政治家のようなふりをして、実際よりも用心深くない単純な人間を装って暮らしているのかもしれない。だが、この章を読んで、ぜひとも考え直してほしい。あなたなのような人間がいなければ、私たちは文字どおり溺れてしまうのだ。