
- 作者: 吉村葉子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2014/07/23
- メディア: Kindle版
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最初の言っておく。この本はタイトル詐欺だ。このタイトルからは節約術のような内容が連想されるが、実際に読んでみるとそうではない。本当の内容は、著者がフランス生活を通して感じたことや考えたことを記したエッセイだ。
というわけで、節約術を期待している人はくれぐれも気をつけるように。
一応、節約のコツみたいなものがないわけではない。ただ、それがメインではない、という印象を受けた。
ちなみに、僕もタイトルに釣られたクチだが、そもそも電子書籍のセールで(確か250円くらいで)買った本なので、釣られたことに対して怒りはしなかった。定価だったら怒っていたか、少なくとも損した気分にはなっただろう。まあ、なかなか興味深い情報もあったので、トータルでは楽しめた。
この手の本の面白さは、異国文化について知ることができる点にある。たとえば、フランス人は事前の仕事の約束を反故にすることがままあるという。そういうときに怒っても返ってくる言葉は「残念でした」のひと言。これは日本だったら絶対に許されないだろう。しかし一方で、仕事の約束を反故にすることはいけないことなのだが、それを差し引いても日本人は神経質すぎるな、とも思う。このように正反対な文化を知ることで、自国の文化をより客観的に見ることができる。
お付き合いに関して、日本人は一緒に外食することを好むが、フランス人は手料理を振る舞うことを好む、というのも面白い情報だ。つまり日本では、男にせよ女にせよ、手料理を覚えておくと他の人との違いを出せる、ということだ。
手料理といっても、難しい料理を覚える必要はない。あり合わせのものを組み合わせるだけでいい。実は、ここが本書の節約に関して述べられている部分なのだが、節約のコツとは、新しいものを買わず、なるべく手元にあるもので済ませることだと著者は主張している。これは、まったくその通りだ。
最後に、著者の意見で面白いと思った部分を引用しておく。
自分のことばかり考える自己中心主義で、私はいいと思います。それに、自分のことを考えれば考えるほど、不思議なほど近しい人たちへの愛情が募ります。
矛盾しているようだが、確かにこういう原理はあるな、と思った。

- 作者: 吉村葉子
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