アイデアを強くする12の方法

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今回は、『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』(カール・イグレシアス著)から、「アイデアが訴える力を強くする12の方法」を取り上げてみたいと思います。

映画の脚本術の本なので、ここでいう「アイデア」はストーリー作りのためのアイデアになります。

映画業界で脚本家が生きていくためには、とにもかくにも面白いストーリーを書くことが第一です。そして、面白いストーリーを書くためには、面白いアイデアを考えるか、またはアイデアを面白くしなければなりません。

アイデアを面白くするために必要な要素について、著者のカール氏は、本の中で次のように述べています。

アイデアを面白くするために必要な要素は、実は2つしかない。最高のアイデアということならそう簡単ではないが、プロデューサーに真面目に読んでもらう程度に面白いアイデアというのなら、次の2つが不可欠だ。目新しくて見覚えがあり、しかも必ず対立を予感させるアイデアであること。

そのうえでカール氏は、考えたアイデアのコンセプトが弱いという場合に、アイデアをパワーアップさせる12の方法を紹介しています。

以下は、その12の方法を要約したものです。

  1. 物語のつかみを探す……ストーリーのつかみとなる部分を探してみましょう。ほかの映画でいえば、たとえば『タイタニック』の「沈没する豪華客船」や『トップガン』の「海軍飛行教練」、『フォレスト・ガンプ/一期一会』の「頭は弱いが純真で優しい」などがつかみに該当します。
  2. 登場人物が経験する最悪の出来事……ストーリーの中で、登場人物が経験する最悪の出来事はなんでしょうか? それを考えてみましょう。
  3. 対照的な登場人物(でこぼこコンビ)……正反対の登場人物を2人創作し、無理やり一緒に仕事をさせる。あるいは、同居させたり、旅行させたり、恋に落としたりする。この方法は、2人組が活躍するバディ・アクションやロマンティックコメディでよく使われています。
  4. 対照的な登場人物と環境(陸に上がった河童)……3番のテクニックと似ていますが、この場合は登場人物と、舞台となる環境を対比させます。『ジュラシック・パーク』や『マトリックス』などがその代表例です。
  5. アイデアをもう1つ足す……FBIの訓練生が単独で連続殺人鬼を追い詰める話を思いついたとします。これだけなら特に目新しい要素はありませんが、そこに収監された殺人鬼をもうひとり加えて、訓練生の指導者として犯人逮捕に協力させたら?──この方法で作られたのが、名作『羊たちの沈黙』です。このように、アイデアにアイデアを足すことで、普通のアイデアが魅力的なものへ変貌します。
  6. 常套的な要素を変えてみる……既に公開されているストーリーを選び出して、ジャンルを変えてしまいます。たとえば、『ロミオとジュリエット』をミュージカルに変えてみると『ウェスト・サイド物語』になります。
  7. ありきたりなプロットを逆転させる……富豪の妻が誘拐され、身代金を払わなければ殺すと夫は脅迫されます。しかし、そこで夫は大喜びで「殺しちゃって!」という。これが『殺したい女』のコンセプトです。このように、ありきたりなプロットでも発想を逆転させることによって、新しさが生まれます。
  8. きっかけとなる事件を面白くする……ストーリーにはきっかけとなる事件がありますが、この事件を面白くすれば、それだけでストーリーはぐっと良くなります。例として、大統領専用機で大統領が誘拐される『エアフォース・ワン』があります。
  9. 極端にしてみる──最悪または最高の××……何かを極端にしてみます。最凶のサメ(『ジョーズ』)、最高の超人(『スーパーマン』)など。とにかく思いついたものを最高、最大、最多、最悪、最弱など、極端にしてみましょう。
  10. 時間的制約を強調する……時限爆弾が爆発するまであと◯◯分など、ストーリーに時間的制約を設けることで緊張感が生まれます。
  11. 舞台を強調する(舞台裏を見せる)……舞台の特徴を強調させるようにしてみると、アイデアは良くなります。たとえば、男性優位の社会で同等に扱われようとする女性が主人公の話。これが企業内だとよくある話ですが、米海軍特殊部隊のネイビーシールズが舞台なら、主人公の苦難はより強調されます(『G.I.ジェーン』)。
  12. コンセプトそのものをジレンマにしてしまう……ストーリー中に、複雑な板挟み状態、または解決不能なジレンマがあったら、それはコンセプトの売りの1つになります。例として、『ソフィーの選択』では、ソフィーは、2人の子供のうちどちらかを見殺しにするよう選択を迫られます。

また、そもそも書くべきアイデアが思い浮かばないという場合があるかもしれません。そういうときは、「自分を興奮させることについて書くことだ」と著者は述べています。

ウィリアム・フォークナーも、「何かを書くなら、人間性について書けばいい。この世でただひとつ、決して古びないものだから」と言っている。

自分は何に興味があり、何に感情が刺激されるのか。そのことをよく思い出していけば、必ずアイデアは見つかるでしょう。そして見つかったアイデアを、上記の方法で訴える力を強くすれば、面白いストーリーが書けるようになります。