怪獣バトルの爽快感と生きるか死ぬかのシンプルな戦い──『キングコング 髑髏島の巨神』感想

映画『キングコング 髑髏島の巨神』を鑑賞してきた。実を言うとキングコングの映画を見るのは初めてだった。人間の女性とラブロマンスを演じるコングには興味ないけど、怪獣バトルを繰り広げるコングは見たい。男なんてそんなもんだ。

鑑賞してみると、期待を上回るボリュームに圧倒された。ハンバーガーを注文したら、パンの間に挟まっていた肉が松阪牛だったくらいの衝撃がある。

あらすじは至って単純。時代的にはベトナム戦争からアメリカが撤退を決めた直後で、「衛星写真で未知の島が発見されたから調査するぞ!」という感じ。学者、傭兵、軍人、報道カメラマンといったメンバーが調査隊となり、嵐に閉ざされた「髑髏島」に向かう。

髑髏島に侵入した調査隊は、調査のためという名目で島に爆弾を落としはじめる。観客が「これはまずいぞ」と思った瞬間、島の守護神であるコングが出現する。この出現シーンが、とにかく格好いい。夕日をバックにして仁王立ちする巨大なコングの姿は、神秘さと畏怖を兼ね備えている。完璧な登場シーンだ。

そしてコングと戦闘ヘリ部隊の戦いが始まるわけだが……この迫力が凄い。コングの巨大な手でヘリが殴られ、ふっ飛ばされていく。人間が次々と死んでいるのに、ケタが違いすぎて、むしろ爽快感がある。これだ。これこそが怪獣映画だ。

その後、ヘリを失った調査隊は、二手に分かれて島からの脱出を目指すわけだが、そんな彼らの前に次々と怪物たちが現れる。足が竹のように長いクモとか、小型のプテラノドンのような鳥とかだ。油断した瞬間に襲われて死亡するため、見ているこっちとしても「次はどこから来るんだ……」と常に警戒態勢。本作はキャラクター描写は最低限に抑えられているが、緊張感を煽るのがうまいため、まるで自分も調査隊の一員になったようなシンクロ感がある。

やがて島の原住民と遭遇した調査隊は、コングが島の守護神であり、スカルクローラーという獰猛な怪物と戦う宿命にあることを知る。

ここでサミュエル・L・ジャクソン演じる大佐だけは、部下をコングに殺された恨みから、あくまでコングへの復讐にこだわる。ストーリー的には「間違いを犯したキャラ」として描かれる大佐だが、彼の執念が、映画の面白さ的にはプラスになっている点が良い。この「大佐 VS コング」は、本作のハイライトの1つだ。

多種多様な怪物が登場する本作だが、やはり注目はコングのライバル、スカルクローラーだ。2本の巨大な腕と骸骨の頭を持つ、巨大なトカゲのような化物。その不気味な造形は、まさに「髑髏島の悪魔」と呼ぶにふさわしい。

コングが島の住民から神として崇められ、人間と心を通わせる知能を持っているのに対し、スカルクローラーは、凶悪な本能にしたがって、ひたすら殺戮を繰り返す。守護神と悪魔、対照的な2つの怪物が繰り広げる死闘は、二転三転し、最後まで息をつかせない。

繰り返しになるが、本作は、冷戦時代が舞台だ。

人類を月にまで送り届けられるようになり、自分たちが地球の支配者であることを誰もが疑わなくなった時代。

そんな時代に、人類の力がまるで通用しない怪物たちが姿を現す。髑髏島にヒューマニズムは意味を持たない。生きるか死ぬか、ただそれだけの世界。そんなシンプルさが、この映画の魅力を最大限に支えている。まさに傑作だ。