読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

スポンサーリンク

現代日本の恋愛事情──草食系男子の増加や恋愛代替産業について

www.usamihiro.info

今回も『当世出会い事情 スマホ時代の恋愛社会学』より抜粋。

前回の記事では書ききれなかったが、日本の恋愛事情に関しても調査されており、興味深い結果になっているので紹介しよう。

統計から見る日本の性事情

著者のアジズ・アンサリは、当初、日本は性的にも進んでいるのだろうと思っていた。なんといってもラブホテルがある国だからだ。しかし、調査を始めてみると、その思い込みは間違いであることが判明した。

箇条書きにすると、以下のような結果が並んでいた。

  • 2013年、16歳から24歳の女性のなんと45%が、「性行為に興味がない、あるいは嫌悪している」。そして男性の4分の1以上が同様に感じている。

  • 18歳から34歳の男女で、異性の恋人がいない割合は、1987年と比較して、男性は49%から61%、女性は39%から49%に増加している。

  • 30歳以下の日本人のなんと3分の1が、デートしたことがない。そして35歳から39歳を対象にした調査では、4分の1以上が一度もセックスをしたことがないという。

  • 2005年、30代前半の日本男性のほぼ半数、女性の3分の1が独身だった。

  • 2012年、41.3%の夫婦が過去1ヶ月セックスをしていない。これは2004年に調査が始まって以来もっとも高い数字である。2004年には31.9%だったが、この10年間、増え続けている。

  • 日本の出生率は224ヶ国中で222位である。2年前に政府協力によりまとめられた報告書では、2060年までに日本の人口は現在の1億2700万人から8700万人に減少し、そのうちおよそ40%が65歳以上になると警告している。

こうした事情により、事態は政府が介入しなければならないところまで来てしまった。子育ての手当を出して経済的な負担を軽減したり、出会いを斡旋する政策に資金を出したり、各都道府県で婚活支援のイベントを行ったり……特にアジズは、「お役所がカップルに結婚祝いを贈る」という事実に驚愕している。

日本に住んでいると、もはや政府が婚活を支援するのは普通に思えてくる。しかし、こうして外国人の視線で見てみると、やはりこれは異常事態なのだということがよくわかる。

草食系男子の増加

現代の日本を語るときに避けて通れないのが、草食系男子の増加だ。

東京に赴いたアジズが、日本男性を対象にしたグループインタビューを行ったところ、彼女を作らない理由について、次のような言葉が返ってきた。

  • 仕事が忙しい。

  • 家に帰ったらゲーム。

  • 知らない女性をナンパするなんてチャラい。

  • そもそもナンパされて付いていくような女性と付き合いたくない。好きなのは清楚(ピュア)な子。

特に注目したいのはインタビューの参加者の1人、アキラが、「相手にその気がある場合が確実なときしか誘わない。断られるかもしれないから」と言ったときのこと。彼がその発言をした直後、「部屋にいたほかの男性たちから、いっせいに同意のうめきがあがった」という。

要するに、彼らは拒絶される不安が大きいのだ。その傾向はアメリカの男性よりもずっと強い。これが草食系男子と呼ばれる人々なのだ。

社会学者たちの説によると、草食系男子は日本経済の衰退とともに増加していった。男性の自信や自意識は、仕事の成功と結びついている。しかし、経済が衰退し、雇用が不安定になると、将来の伴侶を養うことが難しくなった。それにより、女性に拒絶される不安も増大したというわけだ。

女性側の変化

草食系男子が増加する一方、その反対とも言える肉食系女子もだんだん増えていった。男性に誘われるのを待っているのではなく、自分から男性にアプローチする女性のことだ。しかし、いくら自分から働きかけてもメールの応酬ばかりで、いつまでたってもデートの約束をしない男性が多く、難儀しているという。

アジズが女性にインタビューしたところ、彼女たちのほとんどは、もっと男性のほうから動いてほしいと感じているようだった。

日本女性の変化は、恋愛面だけにとどまらない。ほかの先進国と同様、「結婚したら専業主婦」という古い慣習に抵抗し、社会に進出してキャリアを積んでいく女性が増えている。

男女平等の観点からは喜ばしいことだが、別の問題も生んでいる。日本の男性はプライドが高く、自分よりもパートナーが成功していると「興ざめ」してしまう者が多い。

弱気な男性が増えるにともない、自立しようとする女性が増えている。しかし、女性が自立すると男性側は自尊心を傷つけられる。こうした状況を、アジズは「まことに厄介なご時世」と評した。

日本のオンラインデート事情

拒絶される不安が大きいのならば、オンラインデートこそ日本にとって適切と思われる。だがあいにく、日本ではオンラインデートは一般的になっていない。

なぜ日本ではオンラインデートが流行らないのか? その理由は、日本人の文化的性格にある。

オンラインデートでは自己アピールが欠かせないものだが、日本人は基本的に自己アピールが苦手だ。古くから、おとなしくしていることを「奥ゆかしい」といって肯定的にとらえたりする。

現代では「奥ゆかしい」という言葉は死語になってきつつあるが、それでも、自己アピールしている人を指して「マウンティングしている」などと軽蔑したりする。当然ながら、SNSに自撮り写真を使っている人なんて少数派だ。

これではオンラインデートが流行らないのも頷ける。

発展する恋愛代替産業

これまで見てきたように、日本ではカップル数が減少している。そして、日本人はこの現象をもはや普通と見なしつつある。

では、日本人は性に関心がなくなってしまったのだろうか?

実は、そうではない。恋愛が成立しづらくなったことを受けて、性の代替産業が発展しているのが現状だ。

恋愛代替産業として代表的なのは風俗・水商売だ。ソープのように本番が体験できる施設から、ただ会話を楽しむだけのキャバクラまで、あらゆるニーズに応えられるようになっている。

特にアメリカ人のアジズからしてみれば、女の子と会話をするだけのサービスにわざわざお金を払うというのが信じられないようだ。

また近年では、レンタル彼女(彼氏)や添い寝サービスといったものまで登場している。これら多種多様なサービスが、恋愛の代替として機能している。

そのほか、アジズは「大人のおもちゃ」にも言及している。テンガに代表されるおもちゃは、「本物」には敵わないものの、性欲の解消にひと役買っている。

要するに、日本人は性に興味を失ったのではなく、恋愛以外の手段で性欲を解消するようになったのだ。

以上が、現代の日本で起こっていることのあらましだ。

雑感:恋愛で成功体験を積もう

ここからは僕なりの雑感を書いていこう。

日本人は現実の恋愛を恐れ、面倒くさがり、バーチャルな恋愛に拘泥するようになった。

現在、一部でVR技術を使ったエロゲーが注目されているが、これが本格的に流行ってくると、ますますバーチャル恋愛にのめり込む者が増えていくだろう。

こうした状況を良いと思う人はあまりいない。僕自身もそうだ。

僕が考えるに、恋愛をしない人というのは2種類に分かれる。本気で恋愛に興味がない人か、本当は恋愛がしたいのに怖くて踏み出せない人か。

このうち、前者に関しては言うべきことはない。個人の自由だ。

しかし、後者のような人はちょっと問題だ。本当にやりたいことが達成されていない、ということなのだから。

風俗、クラブ、レンタル恋人サービス、アダルトゲーム……これらの恋愛代替産業は、本物の恋愛のための練習と割り切っているうちはいい。だが、それらにのめり込んで自分の欲求をごまかしているかぎり、本当に満足することは永久にないだろう。一時的な満足感はあれど、またすぐにさびしくなってくるはずだ。

また日本の将来的にもよろしくない。既に政府が介入する事態になっていることからわかるように、少子化は社会的な問題になっている。恋愛を経て子供を産まなければ、日本人は減っていくばかりだ。これは経済的な衰退が止まらないことも意味する。

そして最大の問題は、「恋人を作る」というミッションをこなさないことで、成功体験が得られないことだ。

昔──バブル期は日本全体が成功していたから、自然と自信が身についた。現在はそうではない。経済的に衰退し、お偉いさんは時代の変化についていけない。こういう時代では、個人がそれぞれ成功体験を獲得していくしかない。

社会学者の分析では、日本人は経済不況が増大するにつれて異性に拒絶される不安も高まったとしている。では、経済で巻き返せれば恋人作りも積極的になるのでは──と思いがちだが、ちょっと待ってほしい。異性に振られることさえビクビクしている人が、どうやったらビジネス的に成功できるだろう? 恋愛はたった1人の人間に気に入られればいいが、ビジネスは無数の人々に支持されなければならない。難易度でいえば、ビジネス面での成功より、恋愛のほうが簡単ではないだろうか。

だからここは、まず恋愛面で成功体験を積むことを推奨したい。もちろん失敗することもあるだろうが、だからこそ成功したときに価値がある。自分の人生に自信がもてるようになる。

というわけで、僕も恋人を作ることをあきらめず、今後も努力していくつもりだ。