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オンラインデートでパートナーと出会うコツとは──『当世出会い事情 スマホ時代の恋愛社会学』より

アジズ・アンサリの『当世出会い事情 スマホ時代の恋愛社会学』を読んだ。

先日、本屋をぶらついていたときにたまたま発見した本だったが、なかなか面白い内容だった。

現代の恋愛事情──主にオンラインデートのこと──がテーマになっている。日本人には出会い系サービスと言ったほうがわかりやすいかもしれない。

「人間はどうやって運命の人を探すのか?」昔は両親の紹介とか、職場とか、近所づきあいとか、とにかく身近なところで相手を見つけるのが普通だった。ところがインターネットが発達して、スマホが普及すると、オンラインで相手を探すのが普通になってきた。

そういった恋愛事情の移り変わりの歴史やオンラインデートのメリット・デメリット、オンラインデートを成功させるコツ、そして他国の恋愛事情までも学べるのがこの本の特徴だ。

著者のアジズ・アンサリとは

まず、著者のアジズ・アンサリについて。

実は、「アジズ・アンサリってどこかで聞いたことあるなぁ……」と思ったのが購入のきっかけだった。後に思い出したけど、彼はアメリカの有名なコメディアンだ。

僕がこの人を知ったのは、Netflixのコメディ・ドラマ『マスター・オブ・ゼロ』。実はまだドラマ本編は見ていない。マイリストに入れたままだ。ただ、脚本がエミー賞を受賞したので記憶に残っていたのだ。

アジズ・アンサリは、このドラマで主役・脚本・製作総指揮の3つを務めている。

『マスター・オブ・ゼロ』に関しては、以下のブログが参考になる。

blog.marswee.com

ここから先は、本書の中で個人的に興味深かった箇所を抜き取ってみよう。

人は自分が思っているよりも相手のプロフィールを重視しない

本書によれば、オンラインデートにおいて、ユーザーは自分が思っているよりも相手のプロフィールを重視していないという。

これは驚きだ。オンラインデートサービスのほとんどではプロフィール(身長、体型、職業、年収、趣味など)を記入するように促されるし、サービスの利用者も、頭の中で「自分が相手に求める条件」のチェックリストを作成し、他ユーザーのプロフィールを眺めては、いちいち該当するかチェックしているものだからだ。

ところが、大手サービスのマッチドットコムが調査をしたところ、実際には人々は自分たちが思っているほど、あまりプロフィールを重視していないことが明らかになった。たとえ相手が「求める条件」に合致していなくても、交際に発展するケースが多々ある。逆に、条件をすべて満たしていても交際には至らなかったケースもある。

決め手の9割は写真

では、人々はなにを一番重視しているのか?

調査の結果、最も重視されているのは写真だと判明した。オンラインで知り合った相手とリアルでも会うかどうか、その決め手の9割が写真だという。

写真といっても、単純に美男美女ばかり有利というわけではない。写真全体から受けとる印象が大事なのだ。たとえば、ペットと一緒に写っている写真は「いいね」される確率が高い。また、男女で「いいね」される傾向にも違いがある(実際にどのように違うのかは本書を読んで確かめてほしい)。

とにかく、ここで重要なのは、人々は自分が思っているほどプロフィールに重きをおいていないということだ。

実際に会って確かめるしかない

そして相手との交際を決める最大の要素は、なんといっても「リアルで会った印象」だ。

考えてみれば当然のことだが、自分の趣味と相手の趣味が一致していないからといって、それが必ずしも互いに気が合わないことを意味するわけではない。趣味が一致していなくてもなんとなく楽しく過ごせる相手は存在する。結局のところ、相手を好きになるかどうかはフィーリングなのだ。

僕が心から誰かに恋をしたとき、それは相手がこんな外見だからとか、このテレビ番組のファンだからとか、この料理が好きだからとか、そんな理由ではなかった。それよりも、その人といっしょにその番組を見たとき、その料理を食べたとき、ものすごく楽しかったからなんだ。

これは著者のアジズが本書の中で述べていることだが、まさにその通りではないだろうか。

そして、だからこそ「オンラインデートサービスでは、メッセージのやりとりは最小限にして、できるだけ早く現実の世界で相手と会うようにすべきなのだ」という。

ところが、人々はオンラインデートのうち、「オンライン」のほうにばかり時間をかけている。だからいつまで経っても良いパートナーに巡り会えない。

「できるだけ早く現実の世界で相手と会うように」そう言われてもいきなり会うのは不安だ、という人は多いだろう。特に女性は。「たとえば、相手が連続殺人犯かマルチ商法の勧誘者だったら?」そんな考えが頭をよぎるかもしれない。

しかし、だからといってメッセージのやりとりを何週間もするのは愚の骨頂だ。なぜなら、この手の不安はどんなにメッセージをやりとりしたところで、実際に会うまでは解消されないからだ。

繰り返すが、相手を本当に知るためには、実際に会ってみるしか方法はない。

とはいえ、会う場所は少し考える必要がある。絶対条件として、完全にふたりきりになる場所は避けること。最初のデートは公共の場所をチョイスしておけば間違いない。映画館やカフェ、レストランなどがいいだろう。周りに人がいれば、いざというときに助けを呼ぶことができる。

なにか様子がおかしいと感じたら、すぐに逃げよう。特に、事前の約束と違う行為(たとえば、1対1のデートのはずが向こうは2人で来たとか)があったら危険信号。その時点で退散することをおすすめする。

「最高を求める心理」は失敗の元

オンラインデートのデメリット、それは選択肢が多すぎることだ。

なにせ、その気になれば世界中から恋人候補を探せるのだ。こうも選択肢が多いと、人はこういう心理に陥ってしまう。「自分にはもっとふさわしい相手がいるんじゃないか?」そして恋人を得たあとも「もう少し探し続ければ、もっと良い人に巡り会えたんじゃないか?」などと考える。

おわかりだと思うが、このように考えている人が本当に満足できる相手と巡り会うことは永遠にない。こういう人は、頭の中で、実在しないような「最高の相手」を思い描いている。そして妄想の「最高の相手」と現実に存在する相手を比べ続けるため、永遠に満足することがない。

上述したように、古い世代は身近な相手と付き合うのが普通だった。だから完璧なパートナーなんていないと、早いうちから気づくことができた。しかしオンラインの世界では次か次へと選択肢が現れるため、「ひょっとしたら、この世界のどこかに最高の相手がいるのかも……」と思ってしまいがちになる。

こうした「最高を求める心理」から抜け出すためには、恋愛の真実を知る必要がある。

恋愛は量よりも質

恋愛の真実。それは「第一印象から恋愛関係になる人はほとんどいない」ということだ。ある研究によると、若者カップルのうち出会ってすぐに結ばれたという人は、わずか6%に過ぎないという。それ以外は、知人または友人として接しているうちに、だんだん相手を好きになっていく。

先程、「付き合うかどうかは結局のところフィーリング」ということを書いたが、それは必ずしも第一印象がすべてだと言いたいわけではない。オンラインデートの話で言えば、たった1回のデートで相手を判断して、「はい次、はい次」と量的な出会いを重ねていては駄目なのだ。

同じ相手と何度か会ってみる。そのうち相手の人間性がより深くわかってくるだろう。その中で「なんとなくだけど、この人のこと好きだな」と思えてきたなら付き合えばいい。要はそういうことだ。