ポスト・トゥルースに陥らないために知っておくべき5つのこと

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ポスト・トゥルース。直訳すれば「真実の次」。日本ではポスト真実と呼ばれたりもする。客観的な事実よりも、自分が信じたいことだけを信じるという、現代社会の問題を表した言葉だ。

このポスト・トゥルース問題は、もはや避けて通れなくなっている。2016年、日本ではWelqが炎上したのを発端に、大量のアクセス数を稼いでいるキュレーションメディアがデマをばらまいていることに対して批判が集中した。また、アメリカの大統領選においては、偽ニュースの存在が選挙結果に少なからず影響を与えた点が指摘されている。

そして、ドナルド・トランプが大統領に就任した先日も、ポスト・トゥルースが発生した。

米大統領の就任式の際、日本で起こったこと

就任式に集まった人数について、ショーン・スパイサー大統領報道官は「人数は史上最大だった」と発言。それが事実ではなかったことから炎上騒ぎに発展した。

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一方、日本では「500円」という名のTwitterユーザーが、スパイサー報道官の言葉を引用するかたちで「メディアが人数を捏造した」と画像付きで批判、大量のRTと「いいね」を獲得する。しかしBuzzFeedの検証により、画像のほうこそがデマだったと判明する事態が起こった。

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なお、500円のツイートがデマであると判明した後も「人数がガラガラだったのは早朝だったからだ」と主張している人がいる。これに関しては、オバマ大統領の就任式と同時刻の状況を比較した画像がある。具体的に何人からがガラガラなのかは線引きが難しいが、少なくとも「オバマ大統領のときと比べればガラガラだった」というのは言えるだろう。

しかし問題は、多くの人が、情報を精査せずにRTやいいねをしてしまったことにある。事実かどうかは関係なく、「マスコミを叩けるから」という理由で支持したのだ。

このように、もはやポスト・トゥルースは、政治や健康といったテーマにも侵入してくるようになった。生命や社会制度に関わるところでデマを信じてしまうのは、相当危険なことである。自分だけでなく、周りの人にまで害を及ぼす可能性があるからだ。

では、ポスト・トゥルースに陥らないためにはどうすればいいのか? そのために知っておくべきことを5つ、紹介しよう。

1.偽ニュースで金を稼いでいる者がいる

なぜ、偽ニュースが作られるのか? その答えは、偽ニュースが金になるからだ。特にヘイトを煽る記事は多くの注目を集めるため、必然的に広告収入も増加する。偽ニュースの作成者はそれを狙っている。また、収入にならずとも、ただ注目を浴びたいがためにデマをばらまく者もいる。

そうした者たちがいることを意識し、日頃からニュースに対して慎重になろう。

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2.SNSでマルチポストが行われている

以下の画像を見ていただきたい。この記事を書いている最中にTwitterで検索してみた結果だ。

見てのとおり、上述の大統領就任式に関するデマをマルチポストしている。ビジネスでやっているのか、政治信条でやっているのかは不明だが、とにかく複数のアカウントを運営して、同一のデマをばらまいている者たちがいる。今回の件に限らず、ほかにもいろいろなケースで発見できる。

これらマルチポスト用のアカウントは、フォロワー数が1万を超えているものも少なくない。十中八九、組織ぐるみだろう。偽ニュースの作成者は個人だったりするが、このように組織立った印象操作が行われてもいる。

3.マスコミよりもWebのほうがデマは多い

マスコミの情報を疑うのはけっこうだが、その反動なのか、Webの情報はなにも精査せずに信じてしまう人が多い。そういう人ほどデマにころっと騙されてしまう。

キュレーションメディアやまとめブログが検索エンジンの上位に表示され、Twitterではソース不明の情報が日常的に飛び交っている。これは、Webのほうがデマは多いという証拠だ。

こうした中で事実を探すには、複数のソースを突き合わせてみるしかない。そしてそれは、自分自身でやらなければ意味がない。「そのうち誰かが訂正してくれるだろう」という受動的な姿勢では、いつまでも騙される。自分で検証することで経験値が積まれていき、偽ニュースを見抜ける頻度も上がっていくのだ。

4.デマをばらまく者ほど感情的に煽る

結局のところ、人間は最後の最後では感情で物事を納得している。デマをばらまく者は、この性質を利用している。客観的な事実を並び立てるよりも、感情的な言葉で煽り立てるのだ。

もし感情的に訴えている人を見かけたら、まずは冷静になること。特に、政治関係ほど注意が必要だ。

5.人間は基本的に馬鹿である

私もあなたも馬鹿である。この事実を受け入れられるかどうかが重要だ。

「情弱」という言葉が存在するように、多くの人は、他人よりも情報で優位に立ちたいと思っている。偽ニュースの作成者は、そういった欲望につけ込む。「一般には知られていない真相」といった言葉で誘い、ポスト・トゥルースの世界に引きずり込もうとする。

勘違いしないように。これは「馬鹿だから考えなくてもいい」という話ではない。そうではなく、自分は馬鹿であると認め、謙虚さを持とうという話だ。

自分は馬鹿だから騙されているかもしれない、もっと調べよう、もっと冷静になろう──そういう意識が働いている人は騙されない。反対に、「自分は偽ニュースを見抜ける」「自分が騙されるわけがない」と驕っている人は、やっぱり騙される。

最後に:デマとわかったら訂正を

どんなに気をつけていても、デマを拡散してしまうことは誰にもである。そういうときは、デマだと判明した時点ですぐに訂正しよう。

一番最悪なのは、デマの拡散を手伝ってしまうことではなく、デマを訂正しないことだ。