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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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鬱病の人はどのように仕事をすればいいのか?

読書

『「うつ」とよりそう仕事術』

鬱病の人が一番直面する問題が、仕事との向き合い方だ。病気がだんだん回復していき、寛解期(完全に治ったわけではないが、日常生活が送れる程度まで回復した状態)に入ると、仕事を再開しなければならない。しかし、回復してきたといっても、未だ鬱状態が続いているわけだから、以前と同じように働くことはできない。

果たして、鬱病の人はどのように働いていけばいいのか。そのヒントになるのが、『「うつ」とよりそう仕事術』という本だ。

著者の酒井一太さん自身も鬱病患者であり、病気に苦しむなかで考えたさまざまな工夫が書かれている。世の中には仕事術に関する本はたくさんあっても、それらの対象は健常者であって、鬱病患者のための仕事術の本は少ない。そういう意味で、とても貴重な本だ。

僕自身も鬱状態が続いているので、この本に書かれていることは大変参考になった。以下、僕が「これは」と思ったポイントを列挙していこう。

本書の中で気になったポイント

情報を遮断する時間を設ける

現代のネット社会は情報で溢れかえっており、それらを浴びてばかりいると脳に過負荷がかかる。1ヶ月に1回でもいいので、メールやSNSすら一切見ない、脳をリフレッシュさせる時間を設ける。

睡眠の乱れに注意する

精神の病は睡眠の乱れから始まる。夜に眠れないからといって作業ばかりしていると、脳がくたびれてしまう。

同好の士を見つけておく

鬱病になると、周りから人間が離れていく。会社の同僚と疎遠になるのはほぼ間違いなく、学生時代からの友人ですら離れていくことがある。人間関係を絶やさないためには、自分が興味のある事柄について同好の士を見つけておくことが重要。セミナーや勉強会に参加してもいいし、人前に出るのがきついなら、SNSでつながればいい。

寝る前に明日の準備をしておく

鬱が一番酷いのは朝の時間帯であることが多い。朝の負担を減らすために、なるべく準備は事前に済ませておくといい。たとえば、下着類や着ていく服を出しておいたり、必要な物をカバンに詰めておくといったことだ。

GTDを取り入れる

GTD(Getting Things Done)とは仕事術の1つで、自分の頭の中にあるものをすべて書き出し、優先順位をつけて管理するというもの。仕事上のストレスをなるべく減らすことに主眼が置かれており、著者の酒井さんはこれを取り入れることを推奨している。

GTDに関しては、『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』という本が詳しい。

「落ち込んでいるときにやること」を考えておく

鬱状態が酷くなると、事前に決めておいた作業ができない、といったことがある。しかし、だからといって何もしないでいると、無力感で余計に落ち込んでしまう。

そういう場合に備えて、「落ち込んでいるときにやること」を考えておく。床の掃除や書類の整理、ゴミ出しといった簡単な作業でいい。そういった簡単な作業でも、やっておくと無力感に打ちのめされずに済む。

何事もすぐにやる

何かの作業を始めるときは、すぐにやったほうがいい。鬱病患者がぐずぐずしていると、不安が増大してきてつらくなってしまう。最悪、やるべき作業ができなかった、ということにもなりかねない。頭の中で作業手順を考えているとぐずりがちになるので、考える前に行動すること。

ToDoは常に残しておく

通常、ToDoリストをやりきると達成感が味わえるものだが、鬱病患者の場合、ToDoをやりきってしまうと「仕事がなくなってしまった」ことに罪悪感を覚える。そうならないために、常に5個程度のToDoは残しておくことを著者は推奨している。

小さな成功を忘れない

復職した際に陥りがちなのが、周りと比べて「なんて自分は仕事ができないんだろう……」と劣等感を抱いてしまうこと。鬱病なのだからできないことがあるのは仕方がない。ここは素直に割りきって、できないことよりも、できることを数えよう。「無事に出社できた」とか小さなことでもいい。そういう小さな成功を積み重ねていくことが大事だ。

欲求を手放さない

仏教徒なんかは「欲求を手放そう」と説くわけだが、鬱病患者がこれをやってしまうのは非常に危険だ。なにしろ、ただでさえ欲求が湧いてこない状態で沈んでいるのだから、下手に欲を否定してしまうと、自殺に向かいかねない。「今は無理でも、いつかできるようになりたい」というものを蓄えておくこと。それが生きる希望につながる。

職場に鬱病を打ち明けるべきか?

復職の際に悩むのが、鬱病を打ち明けるべきか、ということ。これに関して、著者の酒井さんは「打ち明けるべき」という。以前のようなパフォーマンスでは仕事ができないため、隠したとしても迷惑はかけることになる。それなら、最初から打ち明けて理解を求めたほうがいい、という意見だ。

この判断は、重度の人と軽度の人でまた変わってくると思う。とはいえ、基本的には僕も酒井さんに賛成だ。寛解期においては、最初は大丈夫と思っていても、仕事を振られていくうちにまた鬱が悪化していくことがある。そうなってからでは遅いので、最初からオープンにしておいたほうがいいだろう。