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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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【書評】『ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点:高校同期生26人の証言』(岩田聡の記録を残す会)

読書

ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言

ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言

先日の7月11日は岩田聡の命日だった。そのこともあって、11日は岩田氏の情報があれこれとネット上に散見されたのだが、それらを見ているうちに、本書の存在を知った。

『ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言』は、任天堂の社長として有名だった故・岩田聡の高校同期生26人による証言集だ。

これまで、社長としての岩田聡、プログラマーとしての岩田聡は本人も含めてさまざまな人が語ってきたが、「学生としての岩田聡」に触れたのは本書が初だろう。そういう意味で、実に貴重な資料だ。

本書によれば、高校時代の岩田聡には、2つのトピックがある。1つは「プログラム電卓に出会ったこと」で、もう1つは「バレーボール部に入部したこと」だ。

このうち、「プログラム電卓に出会ったこと」は本人もさまざまなインタビューで語っていたので、知っている人も多いだろう。では、バレーボール部での体験が、岩田氏のその後の人生にどういう影響を与えたのか。

岩田氏は入部時点でバレーボール経験がゼロであり、試合に出られたのは中学以前からの経験者ばかりだったため、高校3年間でついに一度もレギュラー入りすることはなかったという。

ただし、1つだけ周りと違う点があった。たとえば、チームが試合で負けると、コーチや先輩は根性論をもとに叱咤する。しかし、岩田氏の場合、ベンチで応援しながらも冷静に試合状況を観察し、負けた原因を具体的に解説した。それだけでなく、プログラム電卓を入手すると、電卓に試合結果の記録を取り、マネージャーの役目も兼務するようになっていった。岩田氏には、「分析癖」とでもいうべきものがあったのだ。

このことから同期の1人は、「経営者・岩田聡」の原点はバレーボール部での体験にあったのではないかと証言している。

学業のほうはどうだったのかというと、理数系の成績はずば抜けていたが、ガリ勉タイプではなかったという。あまり勉強しなくてもテストで点を取れてしまう天才タイプだったようだ。

また、隣の席だった女子は、岩田氏の横顔は「どうでもいいことを、俺に話しかけてくるな」というオーラを出しているように見えたそうだ。ほかの同期は、「授業中もゲームのことばかりずっと考えていた」と証言しており、好きなことに熱中すると周りが気にならなくなる性格だったらしい。

かといって個人主義だったわけではなく、学校行事で手伝いを頼まれると積極的に参加し、盛り上げようとしていた。バレーボール部でも、自分1人が強くなるのではなく、「チーム全体が強くなる方法」を考えていたようだ。

こうしてみると、「好きなことに熱中する性格」と「分析癖」、「チーム全体のことを考える大局観」が岩田聡の特性であったとわかる。この3つがあったからこそ、任天堂の社長に抜擢されたのだろう。

岩田氏は「天才はいない」という持論だったらしいが、はたから見れば、岩田聡は間違いなく天才である。それが理解できる1冊だった。

ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言

ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言