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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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ヒソカは死んでいた

読書

HUNTER×HUNTER モノクロ版 33 (ジャンプコミックスDIGITAL)

HUNTER×HUNTER モノクロ版 33 (ジャンプコミックスDIGITAL)

www.usamihiro.info

先週、こういう記事を書いた手前、やはり今週号の展開にも言及すべきだろう。

※注意

現時点で単行本未収録のストーリーのネタバレを含みます。

今回で天空闘技場におけるヒソカVSクロロ戦は幕を閉じたわけだが、その結末とその後の展開はこちらの予想をはるかに上回っていた。

まず、ヒソカの生死と試合の結末に関して。

先週、僕は冨樫義博と石田スイの対談から、「ヒソカの生存はまちがいない」と判断したわけだが、それは半分当たりで、半分外れていた。コピー人形による「サンアンドムーン」の一斉自爆で、確かにヒソカは死んだのだ。しかし、そこから「死後に強まる念」を利用した「バンジーガム」による心臓マッサージで蘇生を果たすとは、まったく驚きだ。

試合自体はクロロの勝ちだったが、両者ともに生き残ったわけだ。「ヒソカが生存するからには、クロロが死ぬか、または逃亡するかのどちらかだろう」と予想したが、『HUNTER X HUNTER』はその予想を軽々と超えてきた。

これだけでも凄いのだが、物語はここからさらに急展開する。

なんと、ヒソカは旅団全員を標的にしたデスマッチを宣言したのだ。「これから旅団のメンバーは、いつどこで、誰と会っても死ぬまで戦る」。その言葉どおり、まずはコルトピとシャルナークが殺害された。

なぜヒソカが旅団全員を標的にし始めたのか、あまり深く考えても意味はないだろう。そもそも前回の天空闘技場編で、ヒソカは旅団を「そろそろ狩るか」と考えており、クロロ以外も標的に捉えていたことは明らかだ。このときの伏線が、今回になってようやく回収されたということだ。

少し意外だったのは、クロロに負けたことに関して、ヒソカが全然ショックを受けていなかったことだ。前回の天空闘技場編で「ヒソカはどこにも属さない。自分が最強だと理解しているからだ」とナレーションで語られていたことから、てっきり「自分こそが一番強い」というプライドの持ち主だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

これについて考えてみた。おそらく、ヒソカの「最強」の定義が一般的なイメージとは異なるのだろう。「どんな相手にも勝てる」という意味の最強ではなく、もっと違う意味なのだ。

ここで思い出されるのは、選挙編だ。あのとき、ジンはパリストンを「勝とうとも思っていないし、負けようとも思っていない。だから最強」と評していたが、ヒソカの「最強」もここでいう最強に近いイメージなのではないか。

では、あの選挙編で、勝とうとも思っていないし、負けようとも思っていないパリストンは何を考えていたのか。それは、抽象的に言えば、「とことん楽しむ」ことだ。人に憎まれると幸せを感じるという自身の嗜好にしたがって、嫌がらせを繰り返す。それこそが彼の目的だった。ここで重要なのは、彼の特異な幸福感ではなく、彼が楽しむためだけに行動しているという点だ。

パリストンだけでなく、他の大物キャラクター、ジンにせよネテロにせよ、そしてビヨンドにせよ、彼らは自分が楽しむことを第一に考える。自分の幸せのかたちをはっきり認識している。だからこそ、状況の変化で惑わされることなく、芯のところは決してぶれない(これと逆に、自分の幸福のかたちがわからず、ゆらぎまくっていたのがメルエム)。そして、自分の幸福を認識し、ただ楽しむことだけをひたすら考えるという点では、ヒソカも彼らと同じなのである。

単純な武力という点では、彼らのあいだにも絶対的な格差がある。しかし、精神的な強さという点では、彼らはほとんど同一なのだ。そして、その精神力の根源は、自分の欲望に忠実であることから来ている。

結論を述べると、ヒソカの「最強」とは、精神的な意味での強さを示していたのだ。そう考えれば、「どこにも属さない」の意味も自ずと理解できる。これまで描かれてきたように、旅団のメンバーは全員が大なり小なり「クロロという優れたリーダー」を精神的な支えにしているわけだが、これは彼らが精神面の脆さを抱えていることの証左でもある。そもそも人が組織や集団に属するのは、弱点をカバーしてくれる何かを求めているからだ。しかし、ヒソカは違う。彼は自分が(精神的に)最強であると理解している。だからどこにも属さない。それが、あの天空闘技場でのナレーションの本当の意味なのだ。

ヒソカの考察はここまでにして、話を戻そう。

クロロがカキン王族の宝を狙ったことで、旅団のメンバーも暗黒大陸行きの船に乗ることになった。おそらく、旅団を狙うヒソカも乗船することだろう。一方、もちろんクラピカも目的のため、乗船する。ということは、オークション編以来、再びクラピカと旅団とヒソカが一堂に会するわけだ。作者は、ここでクラピカと旅団の因縁に決着をつけるつもりなのかもしれない。

また、カキン王族の後継者争いやビヨンドの監視、パリストンの思惑など、他にも騒動の種となるファクターが多く散りばめられている。いったいこれから何が起こるのか、まったく想像がつかない。俄然楽しみになってきた。

HUNTER×HUNTER モノクロ版 33 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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