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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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ある日、耳が聞こえない女性が殺人鬼に襲われましたとさ / 映画『サイレンス』レビュー

映画

先日、Netflixで配信された『サイレンス』(原題は『HUSH』)という映画を見た。これがけっこう面白かったので、紹介を兼ねてレビュー記事を書くことにした。

『サイレンス』のジャンルはサスペンス・ホラー。殺人鬼に襲われる系で、特徴は主人公の耳が聞こえないこと。普通のホラー映画のキャラクターよりも不利な立場で殺人鬼に立ち向かわなければならない。最初にあらすじを見たとき、そこが面白そうだなと思った。

耳が聞こえない主人公

主人公の女性は耳が聞こえないわけだが、森のなかで1人で暮らしている。職業は作家で、たびたびMacで執筆するシーンが描かれている。しかしまったく孤独というわけではなく、近くに友人の女性とその彼氏が住んでいる。また、猫も1匹(ほぼ放し飼いだが)飼っている。

友人とは手話で会話をするが、実は主人公は読唇術を学んでいるため、手話ができない相手でも唇を読むことで話している内容は理解できる。

耳が聞こえないのは生まれつきではなく、10代の頃に病気になったせいらしい。主人公には妹がいて、その妹がビデオチャットで「こっちで一緒に暮らしたら?」と誘うのだが、「好きで孤独になったわけじゃない。運命が私を孤独にした」といって拒否する。何か事情があることをうかがわせるが、詳しくは説明されない。また、彼氏もいるようだが、現在は距離を置いている模様。こちらも詳しい説明は挿入されない。

本作のストーリーは「聾唖の女性と殺人鬼が戦う」という一点に絞られており、そこに関わらない要素はことごとく省略されている。主人公のプライベートに深く踏み込まないのもそのため。非常にシンプルな映画なのだ。

友人が窓を叩いて助けを求めていることにも気づけない

この「耳が聞こえない」という設定が、本作独特の面白さを生んでいる。たとえば、序盤のほうで、殺人鬼に襲われた友人が主人公の家に助けを求めに来る。すぐ横で窓ガラスを叩いているというのに、主人公はまったく気づかない。友人のピンチと、友人の次は主人公が襲われるという状況で、二重に怖い。

ほかにも「耳が聞こえないために状況の変化がわからない」というシーンがたびたびあり、これがスリルにつながっている。

あっさり侵入されてスマホを奪われてしまう

殺人鬼に襲われた系の映画で重要なのが、いかに外部との連絡手段を断つかだ。殺人鬼はあくまで人間なので、警察を呼ばれたらその時点でゲームオーバーである。当たり前だが、現代社会は基本的に犯罪者が不利になるよう構築されているのだ。

したがって、どのようにして殺人鬼が有利になるよう話を持っていくかがライターの腕の見せどころなのだが、その点も本作ならでは発想が用いられている。

なんと、主人公はあっさりと家に侵入されてしまうのだ。もちろんドアが開閉した音がするし、その他の物音もするのだが、耳が聞こえないため、主人公は犯人が近くにいても気づけないのだ。そして犯人は楽々と主人公のスマホを奪いとり、あとはブレーカーの線を切断して、陸の孤島の完成というわけだ。

その気になれば強引に殺せるが、散々恐怖させてから殺す

さて、こうして主人公を家に閉じ込めた犯人だが、ここまで読んで、「そもそも近づけるならすぐに殺せばいいのでは?」と思う人もいるだろう。もちろん、本作ではこの点も考えられている。

少しネタバレになるが、本作の犯人は主人公とはまったく接点がない、赤の他人である。それがなぜ主人公を襲うのかというと、犯人が生粋のハンターだからだ。この犯人は、殺人が好きで、しかも獲物をたっぷり恐怖させてから殺すのが楽しみなのである。また、彼にとって、殺人に至るまでの過程が一種のゲームなのだ。よって、「主人公が気づいていないうちにさくっと殺す」という選択肢は、最初から存在しない。わざわざ自分の存在をアピールしてから襲うのだ。

面白かったのが、マスクをかぶっている犯人に対して、主人公が文字を書いて「顔を見ていないし誰にも言わないから助けて」と訴えると、犯人はマスクを外して「これで顔を見ただろ? じゃあ殺す」と宣言するシーンだ。自分から殺人の理由を作りにいく点がアグレッシブで、「この男は本物だ」と思わされる。武装がナイフとクロスボウというのも良い。銃器類を使わないところにこだわりを感じる。

まとめ

主人公と殺人鬼の戦い行方は、ぜひ本編を見て確かめてほしい。

というわけで、催促にとAmazonの広告を貼ろうと思ったのだが、検索しても見つからなかった。Googleで検索してみても映画の情報がまったく出てこない。監督のマイク・フラナガンという人の情報もあまりない。ふむ、どうやら日本では無名らしい。

現在のところ、本作を配信しているのはNetflixだけなのだろうか。もしそうであるなら、視聴するにはNetflixに登録するしかないわけだが……まあ、こればっかりは仕方がない。登録から1ヶ月は無料だし、嫌ならいつでも解約できるので、興味を持った人は試しに登録してみてはいかがだろうか。

www.netflix.com