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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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ぶつ切りで飛び飛びの文体『酔いどれに悪人なし』(ケン・ブルーウン)

読書

酔いどれに悪人なし (ハヤカワ・ミステリ文庫)

酔いどれに悪人なし (ハヤカワ・ミステリ文庫)

小説を読んだ。
『酔いどれに悪人なし』
著者はケン・ブルーウン。
ハードボイルド小説だ。

特にハードボイルドが好きなわけじゃない。
ただ、以前から気になっていた。
その理由は、後々紹介しよう。

あらすじはこうだ。
元警官で私立探偵のジャック・テイラーが、
ある日、美しい女から……
自殺した娘の死の真相を調べてほしいと依頼される。
調査していくうちに殺人事件が起きて、
最後は、意外な真相が明らかになる。
こう言っちゃなんだが……
よくあるあらすじだ。
主人公がアル中だってのも、よくある設定だ。

この小説が特異な点は3つ。
1つ目、アイルランドが舞台であること。
そう、著者はアイルランド人なのだ。
2つ目、主人公は読書中毒でもある。
そのためか、作品の至るところに他作品からの引用文がある。
3つ目、これが一番の特徴なんだが……
文体が普通じゃない。
どういうふうに普通じゃないかというと……
まさに、この記事みたいな文体なのだ。
ぶつ切りで飛び飛び。
最初に読んだときは困惑した。
だんだん慣れてきたが。
これら3つの特徴のおかげで、
他のどんな作品とも異なる独特の雰囲気を味わえる。

で、この本が気になっていた理由だが……
実は、この文体を目にすることが目的だった。
以前、別の本で「特徴的な文体の作家」ということで、
ケン・ブルーウンの名前が上がっているを見たことがあった。
それで気になっていたという次第。

実際に読んでみて、

  1. 文章が短いからといって読みやすいわけではないこと。
  2. 読みにくいからこそ醸し出せる雰囲気があること。

この2つがわかった。

ちなみに、ストーリーは大したことなかった。
主人公のジャックはとことん駄目な人間なので、
どこぞの名探偵のように、
格好良く事件を解決するなんてことがない。
駄目っぷりを楽しみたいというならおすすめする。
あと、いろいろな文体を研究している人にもおすすめだ。

まあ、そういうわけで……
『酔いどれに悪人なし』の書評だった。
以上、終わり。

酔いどれに悪人なし (ハヤカワ・ミステリ文庫)

酔いどれに悪人なし (ハヤカワ・ミステリ文庫)