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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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書くことを好きになるために『つらいことから書いてみようか』

読書

近藤勝重の『つらいことから書いてみようか』を読んだ。

小学5年生向けに語ったことを本にまとめた内容で、対象者が子供であるだけに、なるべく平易な言葉で、わかりやすく文章の心得が書かれている。何より、「書くことを好きになってほしい」という著者の気持ちが伝わってくる。

冒頭で、作文が嫌いになった児童の話が出てくる。ある日、小学校で先生から「善行」をテーマに作文を書いてきなさいと宿題を出された。その児童は、風呂掃除をしたことを書いたのだが、やはり面倒くさかったこともあって、「風呂場をきれいにするのも、毎日はしんどいと思います」と締めくくった。それを先生に提出したら、最後の部分を「毎日しようと思います」に書き直された。心にもないことを書かされて、それ以来、その児童は作文が嫌いになったという。似たような経験をした子供は、全国に大勢いる。

そういう子供たちに、「書くことの楽しさ」を実感してもらいたい。その手始めとして、著者は、まず「つらいことから書いてみようか」という。「書けば、もう一人の自分が出てきて、励ましてくれます」「生きる力は、つらい体験を書くことで身についてきます」。そんな著者の言葉に促されるまま、子供たちは作文を書き上げていった。ある子供は、こんなことを書いた。「友達に口止めしていたひみつを、何人かにバラされていた。それで、いろんな人に、あーだこーだ言われてしまった」。この文章を書いた子供は、「本音を打ち明けることができて、スッキリしました」と後に感想を述べている。そう、これこそ文章を書くことの効能だ。

現在はブログやTwitterなどで気軽に自分の文章を発信できるようになった。それは素晴らしいことなのだが、どうもなかには他人に読まれることを気にするあまり、「何か面白いことを書かなくちゃ……」と自分で自分にプレッシャーをかけている人が見受けられる。プロでもないのにプレッシャーを感じながら書いていたら、やがて文章を書くことが嫌いになってしまうだろう。まずは面白くなくてもいいから、本音を打ち明けてみてはどうだろうか。