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姫呂ノート

散文的な個人ブログ

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ジェシカ・ジョーンズ 第4話「AKA 99人の能力者」レビュー

ジェシカ・ジョーンズ

「玩具を車に乗せ忘れ、息子に泣かれた。機嫌が悪い朝で、車内で手に負えなくなり……私もイラついてた。信号待ちしてるとキルグレイブが乗ってきて、私の車が好きだから乗せてくれと。キルグレイブは……泣いている息子に目もやりもせず、こう言った。『息子を置いていきたいだろ』。私は『ええ』と。私は息子を縁石の上に乗せ、走り去った。バックミラー越しに、泣く息子の姿を見た。そんなことを望んだ自分が許せない」

「失踪した1週間はキルグレイブの運転手を。育児放棄で起訴された。妻には捨てられたが……責められない」


Netflix限定オリジナルドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』のあらすじと感想、今回は第4話。

前回のレビューはこちら。

uhiroid.hateblo.jp

あらすじ

エピソード4 - AKA 99人の能力者

キルグレイブのスパイが自分を盗撮していることを知ったジェシカは、スパイの正体を突き止めようとする。

そんなとき、ジェシカのもとに新しい依頼人がやってくる。宝飾デザイナーのオードリーと名乗るその女性は、浮気をしている夫と離婚するために、夫が浮気をしている現場の写真に撮ってきてほしいと依頼する。ホープの家族の一件から躊躇するジェシカだったが、とりあえず依頼を引き受けることにした。

一方、前回トリシュを襲った警官のシンプソンが、再びトリシュの自宅を来訪する。彼は、自分がトリシュを殺してしまったのではないかと心配になって確認しにきたのだ。それをトリシュは、またキルグレイブに操られたのではないかと勘違いし、ドアを開けることができない。彼女の知らせを受けて駆けつけたジェシカがドアを開け、シンプソンに事情を説明する。

キルグレイブという危険な男の存在を知ったシンプソンは、自分も彼を追うのに協力したいと申し出る。一度はその申し出を一蹴するジェシカだったが、その後、シンプソンに街の監視カメラの映像を入手するように頼む。監視カメラに、自分を盗撮しているスパイが映っているかもしれないからだ。

その後、トリシュはラジオ番組でキルグレイブに謝罪の言葉を述べる。後日、キルグレイブの使者がジェシカの前に現れ、謝罪が気に入ったのでトリシュを狙うのは中止したという彼の言葉を伝える。その使者は、まだ幼い子供だった。子供までもがキルグレイブの被害者になったことに、ジェシカは心を痛める。

前回のラジオ番組は大きな反響を呼び、同じくキルグレイブに操られたという被害者たちが現れる。当然、なかには嘘をついている人間も混じっていたが、本物のキルグレイブを知るジェシカは彼ら1人ひとりをテストし、被害者と嘘つきをふるいにかける。そうして本当の被害者だけが残り、彼らは自然と「キルグレイブ被害者の会」を結成していく。

さて、オードリーの依頼のほうだが、ジェシカはまずオードリーを尾行することにした。キルグレイブに操られていないか確認するためだ。キルグレイブの能力は最後の命令から12時間たつと効果が切れてしまうという弱点があった。

オードリーは、人目に隠れて射撃訓練をしているという物騒な一面があったものの、12時間以内にキルグレイブと接触している様子はなかった。ジェシカは依頼どおり、浮気現場の写真を撮ってくることにした。

しかし、その依頼には思いもよらないトラブルが隠れていた。オードリーの夫を尾行していると、彼はとあるホテルの部屋に入っていった。いざ浮気の証拠を押さえようとしたとき、オードリーから電話がかかってくる。電話に出てみると、夫がいる部屋から声が聞こえてきた。ジェシカは部屋に踏み込む。すると、夫と一緒にいるのは浮気相手ではなく、オードリー本人だった。彼女はジェシカに拳銃を向ける。そう、この依頼はジェシカを暗殺するための罠だったのだ。

オードリーは真相を告白する。ニューヨークにエイリアンが攻め込んできた事件は能力者たちによって解決したが(映画『アベンジャーズ』参照)、その戦いでオードリーの母が建物のがれきの下敷きになって死んでしまった。彼女はそれを逆恨みし、彼らと同じような能力者に憎悪を向けるようになったのだ。

この完全な八つ当たりにジェシカはぶち切れる。暴れて部屋を破壊し、「街から消えろ。二度と能力者に関わるな」と恫喝して去っていくのだった。

その後、ホガースから連絡が入る。「被害者の会」に新しいメンバーが加わったという。ジェシカは、彼らのグループセラピーに参加することにした。

その新メンバーは少し前までキルグレイブの運転手をやっていたのだが、彼は、ある男がキルグレイブに写真を渡しているのを見たという。その目撃情報をもとに監視カメラの映像をチェックするジェシカは、ついにスパイを発見する。しかし、その男は彼女がよく知る人物だった──。

感想

今回の話のテーマは「ストーキング」。これまで、彼女はごく私的な理由でルーク・ケイジをつけていたが、前回のラストでキルグレイブのスパイが自分をストーキングしていることを知り、プライバシーを覗かれることの嫌悪感を味わった彼女は、「ルークをつけていた過去を消したい」と反省する。一方で、探偵の仕事として今後も依頼対象を尾行しなければならないし、キルグレイブのスパイを見つけ出すため、監視カメラの映像を不正に入手しなければならない。それが彼女にさらなる罪悪感を与えることになる。

そしてもうひとつ、「被害者の心の傷」というテーマもある。映画『アベンジャーズ』の戦いでニューヨークの街が破壊されたとき、アベンジャーズを逆恨みする人が出てくるだろうと予想していたが、彼らとはまったく関係がないジェシカがそのとばっちりを受けることになったのは驚きだ。逆恨みは肯定されることではないし、仮にオードリーがアベンジャーズ本編で同じことをしたとしても否定されるだろうが、このドラマで、同じく能力者(キルグレイブ)の被害を受けたジェシカに「八つ当たりはまちがっている」と否定させることでより説得力を増している。

一方、キルグレイブの被害者たちは、同じような被害にあった仲間に出会うことで、自然とグループを作るようになる。個々の被害の内容は「ずっと笑顔にさせられた」というものから、運転手のように家族関係が破壊されてしまったものまでさまざまだが、どの人も、キルグレイブにさせられたことがトラウマになっている。

キルグレイブの能力の恐ろしいところは、効果が切れても操られていたあいだの記憶は消えないことだ。もし能力の存在を知らなければ、彼らはずっと「あれは望んでやったことなのだ」と自分を責めつづけていただろう。それを世間に知らせることができたという意味では、前回のトリシュの無謀な試みにも良い点はあった。

さて、前回の話では「キルグレイブの手先A」でしかなかった警官のシンプソンだが、今回からストーリーの中核に関わってくることになる。キルグレイブに立ち向かおうとしたり、護身用の拳銃をプレゼントしてまでトリシュに謝罪したりする彼の姿は、まさに「正義に燃える警官」といったふうだ。彼はいろいろな意味で「キルグレイブの被害」を象徴する存在なので、今後の活躍にも注目してほしい。

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